2022年のインプラント治療の価格・費用・治療費の傾向はどうなることでしょう?
ズバリ言います!!治療費が高くなります!!
コロナ禍(新型コロナウイルスが招いた災難や危機的状況)によって歯科医院は大幅に患者さんの来院が減りました。
実は患者さんが減ったのは、クリーニングなどの口腔ケアなどで定期通院をあまりしない口腔内の清潔意識や健康意識が低い方、特に今まで保険診療だけで治療を受けて来た方や痛い時にしか歯医者に行かないような方がニュースなどを見て「感染が怖い」と恐怖心を抱き足を運ばなくなった方が多かったです。
そのような患者さんが大半を占めている保険診療が中心の歯科医院は患者さんの減少が大きなダメージになり閉院したところもたくさんありました。
その多くは40代以降の女性患者さんの方が多いというデータもあります。
逆に、矯正治療やインプラント治療などの自費治療(自由診療)や、スケーリング(歯石取り)など口腔管理を定期的に行っている方は口腔ケアが健康管理につながるという考えを理解していることもあり患者さんは歯科医院にきちんと足を運んだという傾向にありました。
治療が終わってハイおしまい!という歯科医院より、普段から口腔ケアの重要さを患者さんに伝えている歯科医院は患者さんが早く戻っている傾向にあるということです。
マスクを普段からするようになり、今のうちに治療しておこうという方が増えたのもあるかもしれません。
インプラント治療や矯正治療などの高額治療、比較的自由診療の中でも価格の安い歯を白くするホワイトニングやセラミック治療は2021年のまん延防止になってから月を追うごとに少しづつではありますが患者さんは増えていきました。
なぜ価格が高騰するのか?その原因は?
まず、世界的にガソリン代が上がった事が言えます。
それからガス、電気などの生活に直結するもの全てが値上がりしました。日本は輸入がほとんどなので輸送費がかかる原材料を含めた全ての物が値上がっている訳です。
インプラント治療に使用されるメーカー製品もチタン(金属)でできていますので、おそらく金属も値上がる事を考えればメーカー製品のほとんどはこれから確実に値上げになると言えます。
保険診療で使用されている銀の詰め物はパラジウム合金といってレアメタルが使われています。まあ、身体にはあまり良いものではないのですが日本ではよく使われています。この金属も値段は国が決めているのですが、恐ろしいほど年々価格が上昇しています。
2022年にロシアが戦争を行ったこともあり金属の価格は高騰します。金も3月に過去最高値になりました。
パラジウム産出国の大半(世界の4割)がロシアなので確実に値上がりしますね。
歯科医院は国の方針に従って金属(パラジウム合金)を仕入れますが、パラの値段は高くなる一方なのに対し、それに対しての診療報酬はとても安いのです。なので銀の詰め物(インレー)や被せ物(冠:クラウン)で処置すればするほど赤字といっても過言ではないのです。
このパラジウム合金を使うと身体に悪いだけでなく。歯科医院では利益も出ない。だからセラミックやジルコニアを使うところが増えて来たという訳です。実際は歯医者さんが儲けたいから勧めていたという訳では無いんです。CR(コンポジットレジン)といわれるレジン(硬質プラスチック)は保険適用ですが、着色や欠けも多いので、どうせならセラミックで!という方も増えてます。
さらにいろんな値上げを加速させるのが今回のウクライナへのロシアの侵攻(戦争)です。
まあ、生活の身の回りの物全てが値上がる事を考えたらインプラント治療や歯科治療が値上がりしない事は考えにくいと言えます。
歯科医院の経営状態はどうなの?
TVCMや看板など多数の媒体に広告を出している所は年間多くの金額を出している歯科医院は正直経営は厳しいのでは無いかと思います。
たとえいっぱいお金があったとしても今のコロナ禍の状況ならば、売り上げに対しての広告費のバランスがよく無いのは誰が見ても明白。
一度出し続けると止められ無いというのが現状だと思います。
止めてしまうと「あれ?あの歯科医院の広告突然減ったよね?」とイメージダウンに直結するからです。
新聞やDMなどの広告宣伝からの来院への反響は、おおよそ1%〜2%と言われており、広告宣伝費というのはどれくらいの売り上げに対してどれくらい費用をかければ良いかの適正なパーセントというのがあります。
ですが歯科のインプラント治療などの医療広告に限っては異なります。
今は需要(広告)と供給(来院患者)のバランスが崩れているので広告を止めるのが賢明。
ネット上(SEOと言ってお金をかけて上位に表示されやすくする)でも意地やプライドで「地域名+インプラント」で検索されて1位に表示されたい!と、かなり高いお金を払っている所もネット会社の言いなりの所もたくさんあります(笑)広告を止めたいけれど止められ無いという状況の歯科医院もあるので。
意地やプライドよりも社会情勢も考えて決断できる人が上手な経営者です。
昔みたいに広告を出せば出すほど反響があった良い時代に取り憑かれている歯科医院であれば、今回のコロナみたいな状況が長く続けば続くほど間違いなく経営は切迫します。
駅などの広告看板であれば年間契約なので期間終了まで掲載されますが・・・
まあ私ならこれからインプラント治療を行うという事で歯科医院を探すという状況だったら、長く通うことになるのでそういった歯科医院には間違いなく行きませんけどね。
突然看板や大量の広告が無くなったら「あの歯科医院、経営ヤバい(危ない)のかな?」と考えるか、「リスクヘッジの為に英断したのかな?」と考えるかは患者さん次第ですけど。
医療広告に限ってはお医者さん(まあ、美容外科がほとんどですが)は「医院名」を広告宣伝しますが、歯科に限っては「インプラント治療」という色々ある歯科の治療科目の1つだけに特化して宣伝しているのですから・・・おかしいですよね??
値段が安いインプラント治療の歯科医院はどうなの?
大量一括仕入れだから価格が安く提供できる・・・
そんな時代はとうの昔の話。
インプラント治療に使われるフィクスチャーと呼ばれる骨に埋まる金属(インプラント体)は製造年月日がパッケージに打たれており、製造から比較的新しい物を使う傾向にあります。
きちんとした歯科医院は最低限のよく使うサイズを常備し、万が一何かあった時の予備として在庫をキープして、患者さんの手術日に合わせてその都度メーカーから入れているのでインプラント在庫を多数抱えているという歯科医院は今は少ないと思います。
比較的仕入れが安価な1ピースタイプのあるインプラントメーカーでは売り上げを上げたいが為に大量販売で歯科医院に多数在庫を抱えさせるという所も過去にありました。一昔前は10年分でも捌けない数を仕入れさせられた歯科医院もありました。
たくさん買えばドリルモーター(骨に穴をあける機器)が付いてくる、ツールセット(インプラント体を締める器具セット)が付いてくるなどのサービスはどのメーカーさんでもあるとは思いますが、
(問題はメーカーの過剰販売、歯科医院の過剰在庫かどうかが重要なんです)
在庫を吐かせたいから安易に治療価格を下げる、安くすれば患者は足を運ぶだろうと考える歯科医院はもしかしたらこれから出てくるかもしれません。
そういった誘い水には注意が必要ですね。
あと、院内の設備と普段の治療をしっかりと見る事が重要です。
CTはあるのか?インプラント治療の際に術着はどうなのか?普段の治療でも拡大鏡は使っているのかどうか?術前診断は説明も含めて十分にしているのかどうか?器具は滅菌パックで出しているか?
別に拡大鏡なんか使わなくったって・・・という先生もいるかもしれませんが、当たり前の治療を当たり前にするのは決して手を抜いている治療とは言いませんが、拡大鏡を使用して治療を行っている歯科医師は「きちんと」の基準がもう少し高いレベルにあるということが言いたいのです。
滅菌器など患者さんの見えない所まで配慮している歯科医院もあるという事です。
実際の治療費はどうなるの?
歯科医院にCTが完備されている場合
2ピースタイプを使用する歯科医院では1本あたり被せ物込みで安くても40万(税別)〜が相場。
東京都内なら1本あたり42万〜45万くらいが多いですね。
比較的安価な1ピースタイプの場合は被せ物込みで1本あたり28万〜32万くらいでしょうか?もちろんCTが完備されている場合ですね。他にCTを撮影しに行くと患者さんに別途費用もかかるのでその分高くなる。
比較的安い値段設定の1ピースでも長期的に安定して良い結果を出している先生を選ぶべき!これはなかなか患者さんでは判断できないかも?くれぐれも値段の安さで飛びつかないように!
でもこれは骨造成など何もなく中間の欠損など簡単に治療ができる場合。
しかも被せ物込みの金額でも材質は医院によってセラミックとかジルコニアとかまちまちなので注意が必要。安価なメタルボンド(金属の上にセラミック系の被せ物)の被せ物だと欠けやすいですしね。
骨がない方や複数本必要な方など難症例の場合は当然この価格では無理です。あとCTやレントゲンなどはインプラント治療の場合には保険扱いではなく自費扱いになります。仮歯やお薬代は含まれている歯科医院もあれば別途の所もあります。
被せ物はジルコニアボンド(内側が金属で表層がジルコニア)、ジルコニアクラウン(冠)、セラミッククラウン(冠)、などの歯科技工料もそのうち徐々に値上がりすることも考えてください。
まあ、着色、割れ、欠けを考えてジルコニアクラウン。
最低でもセラミッククラウンがオススメでしょうか?
歯科医院も歯科技工所にお金を払って注文するので技工料の値上げはダメージ大きいのです。
ボンド系は内側に金属が使われているので、これから金属が確実に値上がりすることを考えたら1本2本の患者さんならフルジルコニアやオールセラミックの方が良いです。
静脈内鎮静法(麻酔科医がコントロールしてウトウトしている間に治療が終わる)が5〜8万(税別)。
骨造成代は骨が足りない方が必要な費用。GBRとも言われる術式(骨再生誘導法)。この骨造成などのメーカー製品(骨材:人工骨)もほぼ輸入なので値上がり必須。
細かい方が嫌われるというよりかは、先生を信頼しての関係性であれば、ちょっとした事があった場合でも「じゃあ、これはこの金額で良いよ」となりますが、ちょっとした事でも「あの人細かいからきちんとご請求しましょう」となってしまうかもしれませんので注意が必要。
値上がりはインプラント治療に限らず矯正治療も値上がりする事でしょう。
矯正装置には金属を使われる事も多いので、材料費は確実に値上がりします。
「なんであんな小さい金属が高いのよ!」と思うかもしれませんが、治療に使われるもの全てが高度医療機器扱い。医療機器を販売するにも(取り扱いにも)免許が必要で、インプラント体と同じく滅菌されてきちんとした金属を使うようになっています。
2022年の価格傾向を考えたら、まだ値段が上がっていない時に治療をするのが良いでしょう。